相続が発生すると、「誰が相続人になるのか」「遺産をどのように分ければよいのか」「相続放棄はいつまでにすればよいのか」など、さまざまな疑問が生じます。

また、沖縄では、軍用地の相続やトートーメー・お墓の承継など、地域特有の問題についてご相談いただくこともあります。

ここでは、相続についてよく寄せられる質問を分野ごとにまとめ、弁護士がわかりやすく回答します。

※相続の取扱いは、ご家族の状況や遺産の内容、遺言書の有無などによって異なります。具体的なケースについては弁護士へご相談ください。

相続手続・相続人について

相続手続・相続人について

Q1.家族が亡くなりました。相続は何から始めればよいですか?
まずは、遺言書の有無、誰が相続人になるのか、どのような相続財産や借金があるのかを確認することが重要です。

相続放棄には原則3か月の期間制限があるため、特に借金の有無については早めに確認しましょう。

Q2.誰が法定相続人になりますか?
配偶者は常に相続人となり、これに加えて、原則として子、父母などの直系尊属、兄弟姉妹の順番で相続人となります。

家族構成によって相続人や法定相続分が変わるため、戸籍を確認して相続人を正確に確定することが大切です。

Q3.孫や甥・姪が相続人になることはありますか?
あります。本来相続人になるはずだった子などが被相続人より先に亡くなっている場合には、その子である孫などが代わって相続人になる「代襲相続」が生じることがあります。

兄弟姉妹が相続人となる場合には、甥・姪が代襲相続人となることもあります。

Q4.亡くなった人にどのような財産があるのか分かりません。調べることはできますか?
預貯金、不動産、有価証券などのプラスの財産だけでなく、借入金や未払金などのマイナスの財産についても調査する必要があります。

通帳や郵便物、不動産資料などを確認するほか、金融機関などへの照会によって調査できる場合があります。

遺産分割について

遺産分割について

Q5.遺産分割協議には相続人全員の参加が必要ですか?
原則として、相続人全員で話し合いを行う必要があります。一部の相続人を除外して遺産分割協議を成立させることはできません。

まずは戸籍などによって相続人を正確に確認することが重要です。

Q6.相続人の一人が話し合いに応じません。どうすればよいですか?
当事者間で遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てる方法があります。

調停では、調停委員を介して相続人それぞれの意見を確認しながら合意を目指します。調停でも合意できない場合には、原則として審判に移行します。

Q7.遺産は必ず法定相続分どおりに分けなければなりませんか?
いいえ。相続人全員が合意すれば、法定相続分とは異なる割合で遺産を分けることもできます。

もっとも、誰かが納得していない状態で無理に合意すると、後にトラブルとなる可能性があります。

Q8.親の介護を長年してきました。相続分を多くもらうことはできますか?
相続人が被相続人の療養看護などを行い、その財産の維持・増加に特別な貢献をした場合には、「寄与分」が認められ、取得できる遺産が増える可能性があります。

ただし、通常の親族間の扶養や介護だけでは認められない場合もあり、介護の内容や期間などを具体的に検討する必要があります。

Q9.兄弟の一人だけが生前に多額の贈与を受けています。遺産分割で考慮されますか?
生前贈与の内容によっては「特別受益」として、遺産分割の際に考慮される場合があります。

住宅購入資金や多額の金銭、不動産など、相続財産の前渡しと評価できる贈与かどうかがポイントとなります。

遺留分について

遺留分について

Q10.遺留分とは何ですか?
遺留分とは、一定の相続人に法律上保障されている最低限の取り分です。

遺言書や生前贈与によって十分な財産を取得できなかった場合でも、遺留分を侵害された範囲について金銭の支払いを請求できる場合があります。

Q11.兄弟姉妹にも遺留分はありますか?
兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺留分が認められるのは、兄弟姉妹以外の一定の法定相続人です。

Q12.遺言書に「すべての財産を長男に相続させる」とあります。他の子は何ももらえないのですか?
有効な遺言書がある場合には原則として遺言内容に従いますが、他の子には遺留分が認められるため、遺留分侵害額請求ができる可能性があります。

現在の制度では、原則として侵害された遺留分に相当する金銭の支払いを求めます。

Q13.遺留分はいつまで請求できますか?
遺留分侵害額請求権には期間制限があります。

原則として、相続の開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年、また、相続開始から10年が経過すると請求できなくなるため、早めの対応が重要です。

Q14.遺留分を請求したのに相手が支払ってくれません。裁判できますか?
まず当事者間の交渉を行い、合意できない場合には家庭裁判所の調停を利用する方法があります。

それでも解決しない場合には、請求額などに応じて地方裁判所または簡易裁判所へ訴訟を提起することがあります。

遺言書について

遺言書について

Q15.自分で書いた遺言書でも有効ですか?
法律で定められた要件を満たしていれば、自分で作成した自筆証書遺言も有効です。

もっとも、日付や署名などの方式に不備があると無効になる可能性があるため、内容だけでなく形式にも注意する必要があります。

Q16.公正証書遺言にした方がよいのでしょうか?
公正証書遺言は公証人が関与して作成するため、方式上の不備によって無効となるリスクを抑えやすく、紛失や改ざんのリスクも低くなります。

相続人同士の争いが予想される場合や、不動産など重要な財産がある場合には、公正証書遺言を検討するメリットがあります。

Q17.遺言書が出てきましたが、内容に納得できません。無効にできますか?
内容が不公平という理由だけで遺言書が無効になるわけではありません。

もっとも、法律上の方式を満たしていない場合や、作成当時に遺言能力がなかった場合、偽造などが疑われる場合には、遺言の有効性が争われることがあります。

Q18.遺言執行者とは何をする人ですか?
遺言執行者は、遺言書の内容を実現するために必要な手続を行う人です。

財産目録の作成、預貯金や不動産などの相続手続などを行い、遺言内容を具体的に実行していきます。

Q19.特定の子に多く財産を残す遺言書を作ることはできますか?
可能です。遺言書によって、特定の相続人に多くの財産を取得させることができます。

ただし、他の相続人の遺留分を侵害すると、相続開始後に遺留分侵害額請求を受ける可能性があるため、遺留分にも配慮して内容を検討することが重要です。

相続放棄について

相続放棄について

Q20.相続放棄はいつまでにしなければなりませんか?
原則として、自分のために相続が開始したことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ相続放棄の申述を行う必要があります。

借金がある可能性がある場合には、早めに財産調査を行うことが重要です。

Q21.「私は相続しません」と他の相続人に伝えるだけで相続放棄になりますか?
なりません。

法律上の相続放棄をするためには、家庭裁判所で相続放棄の手続を行う必要があります。相続人同士で「財産をもらわない」と合意することと、法律上の相続放棄は別の手続です。

Q22.3か月を過ぎてしまったら、もう相続放棄はできませんか?
3か月を過ぎたからといって、必ずしも直ちに相続放棄ができなくなるとは限りません。

いつ相続開始を知ったのか、借金の存在を知ることができた時期など、個別の事情によって判断が異なる場合があります。期間を過ぎている場合には、早めに弁護士へご相談ください。

Q23.借金だけを相続放棄して、預金や不動産は相続できますか?
できません。

相続放棄をすると、原則として最初から相続人ではなかったものとして扱われるため、借金などのマイナス財産だけでなく、預貯金や不動産などのプラス財産についても相続できなくなります。

Q24.私が相続放棄すると、子どもが代わりに相続人になりますか?
相続放棄をしたことを理由として、その人の子に代襲相続が発生するわけではありません。

ただし、相続放棄によって次の順位の親族が新たに相続人となることがあるため、家族全体への影響を確認してから手続を進めることが大切です。

預金の引き出し・使い込みについて

預金の引き出し・使い込みについて

Q25.親の預金が生前に大量に引き出されています。調べることはできますか?
金融機関から取引履歴などを取得し、いつ、いくら引き出されたのかを確認する方法があります。

多額の出金や使途不明の出金がある場合には、その使途や、誰が引き出したのかを調査していきます。

Q26.他の相続人が親の預金を勝手に使っていた場合、取り戻せますか?
本人の承諾なく預金を引き出し、自分のために使用していた場合などには、返還を求めることができる可能性があります。

一方、本人の生活費、医療費、介護費用などのために使用されていた場合には、その内容を具体的に確認する必要があります。

Q27.相続人の一人だけでも、銀行の取引履歴を調べられますか?
相続人であることを戸籍などで確認できれば、金融機関に対して被相続人の預貯金に関する情報の開示を求められる場合があります。

必要書類や取得できる期間などは金融機関によって異なるため、確認が必要です。

Q28.葬儀費用などのために、亡くなった人の預金を引き出してもよいですか?
死亡後の預金は遺産分割の対象となるため、安易に引き出すと相続人間のトラブルにつながることがあります。

一方、遺産分割前でも一定範囲の預貯金を払い戻せる制度がありますので、必要な場合には適切な方法を検討しましょう。

軍用地の相続について

軍用地の相続について

Q29.軍用地も遺産分割の対象になりますか?
軍用地である土地も被相続人の財産ですので、原則として遺産分割の対象になります。

預貯金などと異なり、土地そのものの価値だけでなく、軍用地料が発生することなども踏まえて分け方を検討する必要があります。

Q30.軍用地はどのように分けることができますか?
土地を分筆して分ける方法、一人が取得して他の相続人へ代償金を支払う方法、売却して代金を分ける方法、相続人の共有とする方法などがあります。

どの方法が適しているかは、土地の評価額、年間地料、相続人の希望や資力などによって異なります。

Q31.軍用地の相続では、土地をどのように評価しますか?
遺産分割では、基本的に土地の時価をどのように評価するかが重要になります。

軍用地では年間地料と取引倍率が価格判断の材料として利用されることがありますが、施設、場所、返還予定、面積などによって市場価格は異なるため、個別に評価する必要があります。

Q32.相続後の軍用地料を相続人の一人が受け取っています。どうすればよいですか?
軍用地そのものの遺産分割と、相続開始後に発生した軍用地料を誰がどのように取得するのかは、分けて整理する必要があります。

一人の相続人が地料を受領している場合には、受領額や期間を確認し、相続人間で精算が必要となることがあります。

Q33.軍用地を兄弟の共有名義にしても問題ありませんか?
共有で相続すること自体は可能です。

もっとも、将来売却するときなどに共有者間での調整が必要となり、さらに相続が繰り返されると共有者が増えて権利関係が複雑になる可能性があります。将来まで見据えて分割方法を検討することが大切です。

トートーメー・お墓・祭祀承継について

トートーメー・お墓・祭祀承継について

Q34.トートーメーは必ず長男が継がなければなりませんか?
法律上、「トートーメーは必ず長男が継がなければならない」と定められているわけではありません。

位牌やお墓などの祭祀財産を誰が承継するかについては、被相続人の指定や地域・家族の慣習などが問題となります。

Q35.トートーメーやお墓も、預金や土地と同じように相続人で分けるのですか?
位牌などの祭具やお墓などの祭祀財産は、通常の相続財産とは異なる取扱いがされています。

一般の預金や不動産のように法定相続分に従って分割するのではなく、祭祀を主宰する人が承継することになります。

Q36.遺言書でトートーメーやお墓を継ぐ人を指定できますか?
できます。

遺言書によって祭祀承継者を指定しておくことで、「誰がトートーメーやお墓を継ぐのか」という相続開始後のトラブルを防ぎやすくなります。

Q37.トートーメーやお墓を継ぐ人に、多く財産を残すことはできますか?
遺言書によって、祭祀を承継する人に一定の財産を多く取得させることは可能です。

ただし、祭祀承継者になったから当然に相続分が増えるわけではありません。また、他の相続人の遺留分を侵害する可能性もあるため、財産の配分は慎重に検討する必要があります。

弁護士への相談・費用について

弁護士への相談・費用について

Q38.どのような場合に相続を弁護士へ相談した方がよいですか?
相続人同士の話し合いが進まない、遺産の全体が分からない、預金の使い込みが疑われる、遺言書の内容に納得できない、遺留分を請求したいなどの場合には、早めの相談をおすすめします。

「まだ争いになっていない」という段階でも、今後の進め方を確認するために相談することができます。

Q39.相続の法律相談には費用がかかりますか?
弁護士法人ニライ総合法律事務所では、相続に関する初回の法律相談を30分無料でお受けしています。

ご依頼いただく場合の着手金や報酬などは、ご依頼内容によって異なります。

Q40.兄弟など複数の相続人で一緒に弁護士へ依頼できますか?
相続人同士の利害や方針が一致している場合には、複数の相続人から一緒にご依頼いただける場合があります。

一方、相続人同士の利害が対立している場合には、同じ弁護士が双方を代理できないことがありますので、具体的な状況を確認する必要があります。