目次
- 1 遺言書とは
- 2 遺言書の種類
- 3 自筆証書と公正証書の違い
- 4 自筆が困難な場合・死期が迫った場合
- 5 遺言に関する法改正(平成30年改正)
- 6 遺言書作成を弁護士に依頼するメリット
- 7 遺言書作成費用について
1 遺言書とは
遺言書とは、自らが死亡した場合に、自身の財産をどのように相続させるかを定めた、自身の最終的な意思表示を記録した文書です。
相続人間での遺産分割方法や、相続人以外の者への遺贈、財産の使途、遺言執行者の指定などを記載します。
遺言書は何度でも書き直すことができ、最も新しいものが有効となります。
そのため、単なる最後のメッセージとしての「遺言(ゆいごん)」とは異なり、民法上の法的効力を有し、相続人の権利を変更できるのが「遺言書(いごんしょ)」です。
この「遺言書」を有効に作成するには、民法に定められた方式(ルール)を守る必要があります(無効となる遺言書についてはこちらをご参照ください)。
2 遺言書の種類
遺言書には法律上さまざまな方式がありますが、実務上よく用いられるのは次の2種類です。
- 自筆証書遺言(民法第968条)自筆証書遺言の書き方とひな形はこちら
- 公正証書遺言(民法第969条)公正証書遺言の書き方とひな型はこちら
3 自筆証書と公正証書の違い
(1) 自筆証書遺言の特徴
ご本人が全文(または要件に応じた部分)を自筆で作成します。
紙・ペン・印鑑があればその日中に作成可能。
手軽に作成できますが、
- 保管場所によっては紛失・破棄・改ざんのリスク
- 見つけてもらえずに無効扱いとなるリスク
- 内容をめぐる相続トラブルの原因となる可能性
などの注意点があります。
(2) 公正証書遺言の特徴
公証役場で、公証人および証人2名の立ち合いのもと作成されます。
原本は公証役場に保管されるため、
- 破棄・改ざんのリスクがない
- 無効となるリスクも極めて低いという点で安心です。
ただし、公正証書遺言の作成には、
- 公証人との打ち合わせ
- 公証役場への予約・訪問
- 出張対応を含め、1〜3か月程度の時間が必要です。
4 自筆が困難な場合・死期が迫った場合
以下のような特別方式の遺言も法律で認められています。
- 秘密証書遺言(民法970条)
- 危急時遺言(民法976条・979条)
- 隔絶地遺言(民法977条・978条)
特に、死期が迫り自筆での作成が難しい場合には、「危急時遺言」が有効です。
当事務所では、危急時遺言の作成支援も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
5 遺言に関する法改正(平成30年改正)
平成30年7月6日、「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」(平成30年法律第72号)が成立し、同年7月13日に公布されました。
主な改正点は次のとおりです:
- 自筆証書遺言の方式の緩和
- 法務局による自筆証書遺言の保管制度の創設
- 遺言事項及び効力の見直し
「自筆証書遺言の方式緩和」は平成31年1月13日から施行、「保管制度」は公布の日から2年以内に施行予定(政令により指定)。
6 遺言書作成を弁護士に依頼するメリット
(1)遺留分に配慮した遺言の作成ができる
司法書士でも遺言書作成は可能ですが、弁護士に依頼することで相続トラブルを未然に防ぐ設計が可能です。
不動産を個別に列挙する遺言は、銀行預金の分配や遺留分侵害額請求で争いの火種となることがあります。(遺留分侵害額請求について知りたい方はこちら)
当事務所では、不動産を含めた資産の時価評価や遺留分の考慮を含めた遺言書の作成をお勧めしています。
(2)遺言執行者を付けて煩雑な手続きを回避
寄付や不動産の換価など、相続人にとって煩雑な内容を含む遺言は、弁護士を遺言執行者に指定することでスムーズに実現できます。
(3)遺産の帰属を事前に精査できる
例えば、すでに長男名義となっている不動産などを遺言で言及しなかった場合、後に「これは父の遺産だ」として遺産確認訴訟に発展することもあります。
こうした事態を未然に防げるのが、実務経験豊富な弁護士に依頼する大きなメリットです。
(4)認知症との関係も考慮した遺言作成が可能
認知症の疑いがある中で遺言書を作成する場合、遺言無効の争いになることがあります。
その際、認知症の程度や、遺言の文言、作成動機が争点となります。
遺言無効訴訟の経験を持つ弁護士であれば、有効性を担保した文案を作成できます。
7 遺言書作成費用について
当事務所では以下の費用で対応しております。
- 通常の遺言書作成:20万円~(税別)
- 危急時遺言の作成:30万円+裁判所手続き10万円(合計40万円)(税別)
- 遺言執行者報酬:遺産額の2%~4%(税別)
(内容により変動。不動産換価の有無、預金数、相続人の人数、遺留分問題などを考慮)
なお、認知症の進行具合によっては作成できない場合もありますので、早めのご相談をおすすめいたします。
その他の相続のご依頼に関する費用はこちら
那覇市・沖縄市・うるま市に事務所を構える弁護士法人ニライ総合法律事務所では、地域に根ざした法律サービスを提供しており、遺言や相続に関するご相談を多数取り扱っております。
初回30分の無料相談をご利用いただけますので、相続や遺言書の作成でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
経験豊富な弁護士が、専門的な知識と実績をもとに丁寧にサポートいたします。
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