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公正証書遺言の書き方・遺言書のひな型

公正証書遺言の書き方・遺言書のひな型

1 公正証書遺言とは何か

公正証書遺言とは,その名のとおり,公正証書で作成される遺言のことです。公正証書というのは,公証役場(こうしょうやくば)というところで,公証人(こうしょうにん)という方に,内容を確認してもらった上で作成してもらう書面のことです。またその公正証書は公証役場に保管されます。

 

2 公正証書遺言の作成の流れ

具体的には,あらかじめ、弁護士や司法書士などの専門家に相談します。遺言書の作成を依頼された専門家は、依頼者から具体的な遺言内容などを聞き取り、遺言書案を作成します。依頼者から承諾が出たら、これを公証役場に伝え、細かい文言を修正したうえで、具体的な公正証書の作成の日取りを決めます。

遺言書作成の当日は、遺言者の方以外に証人2人以上を連れて行き,その方の立ち会いの下で,遺言者が遺言の内容を公証人の方にお伝えし,公証人が遺言者の方から聞いたことを書きとめ,これを遺言者と証人のそれぞれに対し読み聞かせ,または閲覧させ,遺言者と証人の方が,その内容が遺言者の方の意思を反映したものであることを確認したのちに,各自これに署名押印します。ただし,遺言者が署名できないときは,公証人がその事由を付記して署名に代えることもできます。そして最後に公証人が,署名押印して,完成です。

 

3 公正証書遺言の証人になれる人、なれない人

民法974条は、次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができないと定めています。

1未成年者

2推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族

3公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

 

一番安全な方法としては、弁護士を証人として公正証書を作成する方法をお勧めします。公正証書は二人の証人が必要です。ニライ総合法律事務所は弁護士の証人を二人つけて、公正証書を作成することができます。

のちに公正証書の有効性を争われた場合に、弁護士が公正証書作成時に立ち会っていることは非常に強力な助っ人となります。

 

4 公正証書作成の費用・実費

公正証書を作成する際には、実費が必要となります。

遺言公正証書の作成手数料は、遺言により相続させ又は遺贈する財産の価額を目的価額として計算します。遺言は、相続人・受遺者ごとに別個の法律行為になります。数人に対する贈与契約が1通の公正証書に記載された場合と同じ扱いです。したがって、各相続人・各受遺者ごとに、相続させ又は遺贈する財産の価額により目的価額を算出し、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書の手数料の額となります。(日本公証人連合会:引用

目的の価額 手数料
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1000万円以下 17000円
1000万円を超え3000万円以下 23000円
3000万円を超え5000万円以下 29000円
5000万円を超え1億円以下 43000円
1億円を超え3億円以下 4万3000円に5000万円までごとに1万3000円を加算
3億円を超え10億円以下 9万5000円に5000万円までごとに1万1000円を加算
10億円を超える場合 24万9000円に5000万円までごとに8000円を加算

 

5 公正証書遺言のメリット

公正証書遺言のメリットは,公証人の前で作成しますから,その後,書き換えられたり,捨てられたりすることがないということ,家庭裁判所での検認(けんにん)と呼ばれる手続きが不要になることなどがあります。また,公証人が関与するため,効力が発生しないという危険性は防げるということなどがあります。

 

6 公正証書遺言のデメリット

デメリットとしては,証人・公証人という限られた人ではありますが,自分の遺言の内容を全て知られてしまうということ,手続きの手間や費用がそれなりにかかるということなどが挙げられます。

 

7 こんな場合には公正証書遺言を作るべき

ある程度の金額を超えるような財産をお持ちの方で,生前から相続人同士がもめることが不安である場合や事業承継などのために,遺留分などをしっかりとケアした相続をさせたいという場合には,しっかりと細かい遺産の配分をしなければならないケースもあると思われます。

 

そのようなケースでは,生前から遺言者の方が,きっちりと内容を決めて,死後の財産配分に間違いがないように備えておくことは必須になるかと思いますので,そのような場合には,公正証書遺言を行われることが良いかと思われます。 かかる遺言書の作成にはぜひ弁護士にご相談ください。

 

8 公正証書遺言作成前に検討すべきポイント

□不動産を誰にあげたらよいか

居住する不動産などについて、例えば、敷地は相続人で建物は相続人のうち一人である場合などで、敷地について相続人全員が所有するようになってしまうと、後々兄弟中が悪くなったとときに、トラブルに発展します。

不動産はこれを一番使う必要がある相続人に振り分け、その他の相続人には、その分、ほかの相続財産を残すようにする方法がベストです。

また、賃料が発生するような収益物件、沖縄だと軍用地等については、どのように賃料収益を分けるかなども考えて、相続人に相続させましょう。

 

□相続人に貸しているお金などについては、どう処理するか

相続人のうち、親などである被相続人に多額の援助を受けている人もいます。その場合、債務について他の相続人も知っている場合は、このことで後々トラブルになります。かかる生前の援助については、免除するのか、返してもらうのか、などもしっかり考慮して作成することをお勧めします。

□遺留分を侵害していないか。

相続財産の分配をどのように決めるかは被相続人の自由です。しかし、遺留分を超えるような相続財産の分配にし、一人の相続人に偏って財産を残すことは、後々の相続トラブルの最大の原因となります。

不動産については、おおよその時価相場を調べたうえで、のちのトラブルにならないように、設定しましょう。遺留分減殺請求について詳しくはこちら

 

□相続人に納得できるような説明をしているか。

公正証書遺言が後々トラブルになるのは、相続が発生して初めてそのような遺言の内容を知った相続人が、心情的なショックを受けるからです。親から同等に愛されてきたと思っていたのに、他の兄弟と比べて自分だけ相続において冷遇されているというショックです。

このような心理的ショックは後々必ず相続トラブルに発展します。兄弟の仲を裂かないためにも、被相続人は遺言書を作成する前に、しっかり相続人たちに納得がいくような説明をすることをお勧めします。

 

9 公正証書で指定しておくべきものは何か

遺言書で指定しておくことができるものについては、相続財産の振り分けだけではありません。公正証書作成の際には、祭祀承継者の指定、遺言執行者の指定なども必要なものは盛り込んでおくことを検討すべきです。

10 「相続させる」旨の遺言

遺言書の書き方は様々です。誰に譲渡するのか,相続人の間でどのように分割するのかなど,その目的に応じてどのような形態にするかを決めていくことになります。

では,そのうちの一つ,「相続させる」旨の遺言について説明致します。

遺言においてある特定の相続人だけに,財産を承継させたいという場合,遺言において出来る法律行為には,遺言によって財産を無償で他人に与える遺贈(民法964条)と,遺産分割方法の指定(民法908条)の二つがあります。

このうち,遺贈によって財産を承継させる場合には,承継させたい財産が不動産であるとすると,共同相続人全員で共同で不動産の所有権移転登記をしなければならないことになります。これに対し遺産分割方法の指定という方法であれば,特定の不動産を承継した相続人が単独で登記を移転することが出来ます。

しかし,仮に遺産分割方法の指定という方法であったとすると,遺言書があったとしても,遺産分割を別途経なければなりません。

そこで,取られたのが「相続させる」旨の遺言です。具体的には,ある特定の相続人に対して,「●●を相続させる」と記載された遺言書のことです。これを従来の登記実務においては,遺産分割方法の指定であると解して,単独での登記申請を可能にしていました。そして,最高裁平成3年4月19日(民集45巻4号19頁)判決において,相続させる旨の遺言については,遺産分案勝方法の指定であると解するとともに,遺産分割協議を経ることなく,直ちに相続によって所有権が帰属するということが認められたのです。

現在でも,当該判決に対しては余りにも被相続人に対し大きな権力を与えることになって不合理であるなどの有力な批判も存在しますが,「相続させる」旨の遺言は,ある特定の相続人に対して,特定の不動産を相続させたいと考えた場合の有効な方法であるといえます。

11 遺言公正証書の書き方のひな型

 

遺言書が出てきたら、検認手続きを

被相続人の方がお亡くなりになった後,被相続人の方が生前に書かれていた遺言書が出てきたら,どうしたら良いのでしょうか?

1 公正証書遺言以外の遺言書の場合

 

その遺言書が公正証書遺言でない場合には、まず最寄りの家庭裁判所に,検認の手続きを申立てる必要があります。家庭裁判所で、相続人またはその代理人立ち合いの上で開封しなければならず、封印のある遺言書を家庭裁判所以外で開けたものは、5万円以下の過料に処せられます(民法1005条)。

公正証書遺言以外の全ての遺言書は,この家庭裁判所での検認という手続きを経なければなりませんので,忘れずに申し立ててください。

そこで内容を確認し,内容に問題がなければ,遺言書にしたがって相続手続きがなされることになります。

なお,検認手続きがなされたからといって,その遺言書の内容が正しいとか,遺言として常に有効かというものではありませんので,偽造や変造の疑いがある場合については,検認手続後であっても裁判等で争うことはできます。

偽造や変造の疑いがある場合、作成の経緯に疑問がある場合などは是非弁護士にご相談ください。

2 公正証書遺言の場合

 

遺言書が公正証書遺言である場合は、この遺言書の文言が「相続させる」となっていれば、他の相続人の同意なく不動産登記を行う事ができます。また、銀行等の預貯金についても、公正証書遺言の提示で基本的には払戻に対処してくれるはずです。もっとも、公正証書遺言はいつでも何度でも作り変える事が出来て、この場合、被相続人がなくなる前の最後に書かれた遺言が有効となりますので注意が必要です。

公正証書遺言を作成するには、あらかじめ弁護士や司法書士などの専門家にお願いし、公証役場で予約をとり文言を何度か修正したうえで作成するので、費用も手間もかかります。従って、通常は公正証書遺言を何度も書き換える人は少ないですが、兄弟同士の軋轢、働きかけなど人間関係の異変がある場合には、公正証書遺言の作成を何度かする場合もあります。そのように、何通か遺言書が作成されている様子がある場合は、遺言書を作成している公証役場で他の公正証書遺言が無いか、問い合わせてみることも必要です。

公正証書遺言はその作成に公証人の立ち合いが必要であり、慎重に文言も作成されるため、これが無効になることは非常に少ないですが、仮に作成経緯に疑問があるような場合には弁護士にご相談ください。

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