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相続放棄

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相続放棄とは

相続放棄とは,相続人である者が,被相続人の遺産を何等かの理由により(借金が多い,他の一人の相続人に全てを相続させたいetc)相続したくないと考えた場合に行う意思表示のことです。相続の放棄をした場合,その相続人は,はじめから相続人とならなかったとみなされることになります(民法第939条)。

具体例(1)(被相続人に借金が多くあるパターン)

具体的に,一番多い放棄のケースは,被相続人Aの子として,相続人Bと相続人Cがいるとして,被相続人Aには積極的財産(不動産,預金などプラスの財産)が余りなく,代わりに借金などの債務が存在する場合には,その相続人であるBやCからすれば,単純に相続をしてしまうと,Aに代わって,Aの借金を返さなければならない訳ですが,相続放棄をしてしまえば,B及びCは,その借金を返済する必要が無くなるという訳です。

なお,相続放棄の場合には,代襲相続の規定も適用されることはありません。

相続放棄の場合の注意点としては,相続には相続の順位というものが定められておりますので(民法第887条,第889条),仮にAには,子としてB及びCがいるが,他にAの親(祖父母),及び兄弟姉妹がまだ存命であるという場合には,B及びCが放棄を行うと,→親(祖父母)→兄弟姉妹の順で相続の順位が移転していきますので,本当にAの遺産を各相続人が全員放棄しようと思った場合,その順序で順に相続放棄をしていかなければならないという事になってくることは注意が必要です。

具体例(2)(誰か一人に相続をさせたいというパターン)

その他に相続放棄が利用される例としてあるのは,相続人のうち,誰か一人に全ての遺産を相続させたいと思う場合です。仮に先ほどの例のように,被相続人Aに対して,相続人B及びCがいるとして,Bに対し,Aの遺産を全て承継させたいと考えた場合,通常であれば,B及びCにおいて,遺産分割協議書を作成するという方法がある訳ですが,この場合,Cにおいて,相続を放棄すると,Cははじめから相続人とならなかったものとみなされるので,結局は,Aの相続人はBしかいない。という状態を作り出せることになります。

そうすると,遺産分割協議書などの作成を行わないでも,Bが単独で遺産を相続できることとなるということになり,このようなことを意図して相続放棄がなされることもあります。
以上のとおり,相続放棄というのは,相続の場面においては,結構よく使われるものですので,その効果,方法等については,良く知っておくことが必要になってきます。

相続放棄の申立

(1)相続放棄の申立はどこでするのか。

相続放棄の申立は,家庭裁判所に対し,行わなければなりません(民法第938条)。
具体的には被相続人が最後に住んでいた場所の家庭裁判所になります。ですから、申立る人が例えば東京に住んでいた場合でも、被相続人が沖縄でなくなっている場合には沖縄の家庭裁判所で申し立てる必要があります。

(2)相続放棄の申立書の記載の仕方

相続放棄の申述は,申述書において行わなければならないことになっています(家審規第114条1項)。
申述書の内容としては,
1.申述者の氏名及び住所,
2.被相続人の氏名及び最後の住所,
3.被相続人との続柄,
4.相続の開始があったことを知った年月日,
5.相続の放棄をする旨
を記載し,申述者または代理人がこれに署名押印をしなければならないとされています(家審規第114条2項)。

相続放棄の申立書のひな型は、裁判所のhpから取得することができます。
また、添付書類として被相続人や申立をする人の戸籍謄本などが必要となります。
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/10m-souzokuhouki.pdf

(3)相続放棄の申立の効果が発生する時期

相続の申述とは,放棄者の意思表示であり,家庭裁判所がこれを受理する審判が確定してはじめて放棄の効果が生じます(家審第13条)。

(4)相続放棄を申立てることができる人はだれか。

相続放棄の申立権者,つまり相続放棄を申立てられるのは,相続人かその法定代理人に限られます。
先ほど(1)で記載している通り、相続放棄は被相続人の最後の所在地で申し立てる必要がありますので、遠隔地から申し立てる場合には弁護士などの専門家に頼む事も考えてもよいと思います。
ニライ総合法律事務所では、相続放棄は15万円(税別)~受け付けています。

相続放棄の期間

(1)熟慮期間とは

相続放棄は,自己のために相続の開始があったことを知った時から三カ月以内にしなければならないとされています(民法第915条1項)。
これを熟慮期間といいます。この熟慮期間は,原則として三カ月とされており,感覚的にはかなり短いと思われるかもしれません。しかし熟慮期間の考え方には以下のような点が問題となります。

(2)熟慮期間の開始時期

相続放棄については,「自己のために相続の開始があったことを知った時」がいつであるかという点が重要となってきます。

文字をそのまま解釈すれば,自分が相続人となった。つまり,被相続人が亡くなったことを知った時からとも考えられそうですが,相続人においては,仮に被相続人が亡くなったとしても,被相続人において相続するような財産があるかどうか,すぐには判断が出来ないようなケースが存在します。

そのため,現在では,相続人に落ち度がなく,調査しきれなかった相続財産,特に判例では借金などの消極財産については,その存在を知った時に,はじめて,「自己のために相続の開始があったことを知った」ことになると解釈されています。

具体的には,被相続人Aが亡くなった時,Aには特段,財産も何もないと考えていて,三カ月以上が経過した後に,突然,Aにお金を貸しているという貸金業者から,Aの相続人であるB及びCに対して手紙が送られてきた場合,既に三カ月が経過しているからという理由で,B及びCが相続の放棄が出来ないとなってしまっては,B及びCに対しては非常に酷です。

そのため,家庭裁判所においては,Aに当初具体的な財産が無いと信じたこと,単純承認をしていないこと,B及びCに当該消極財産を知らなかったことについての落ち度がないことなどを判断した上で,B及びCに対して当該手紙が送られてきた日から三カ月以内であれば,熟慮期間以内の申述であるとして,これを受理するということになる訳です。

(3)熟慮期間の伸長と相続財産の調査について

また,相続財産の所在や態様が複雑で,三カ月の熟慮期間内には調査が完了せず,承認するか放棄するかの判断が出来ないこともあり得ます。この場合,相続人を含む「利害関係人」その他の方の請求により家庭裁判所の審判において,その熟慮期間を伸長することが出来るとされています(民法第915条1項但し書き)。なお,伸長できる期間の長さについては,特に定めがなく,家庭裁判所が申立てを却下した場合には即時抗告をすることが出来ます(家審14条,家審規則111条,113条)。

そのため,遺産の中に土地などの積極財産が多いものの,消極財産いわゆる借金も多くて,複雑なため,放棄すべきか,承認するかの判断がすぐにはつけられないという時は,この請求を家庭裁判所に対し,予め行っておいて,その後に判断するということも考えられる訳です。

 相続放棄が出来なくなる場合(単純承認)

相続放棄については,放棄とは逆の意思表示である単純承認をした場合(または限定承認の場合)には,当該承認に民法上の取消事由(詐欺,強迫など)が無い限り,もはや相続放棄を行うことは出来ないことになります。

では,ここではそのうち多くの方にとって気づかない間にしてしまいがちな法定単純承認についてみていくこととします。

(1) 単純承認とは

単純承認をした場合,相続人は,無限に被相続人の権利義務を承継するものとされています(民法第920条)。

基本的には,単純承認をするということは,相続人として,相続することをいう訳ですが,多くは以下に述べるような法定単純承認の規定により,単純承認をしたとみなされることとなります。

(2) 法定単純承認とは

具体的には,民法第921条に定められており,

①相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき

②相続人が第915条1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき

③相続人が,限定承認又は相続の放棄をした後であっても,相続財産の全部若しくは一部を隠匿し,私にこれを消費し,または悪意でこれを相続財産の目録に記載しなかったとき。

の3つということになります。

このうち,②については,相続放棄をすべき熟慮期間(原則:自己のための相続開始を知った時から3か月)の間に,放棄または限定承認(被相続人の財産の限りで負債を支払うという制度)をしない限りは,単純承認をしたものとみなすということですので,単純承認というのが,相続の原則であることを確認したものに過ぎません。

ですので,放棄を考えている方は熟慮期間の考え方に注意すべきという程度に記憶しておけば十分でしょう。

(3) 相続財産の処分にあたる場合とは

問題となるのは,主に上記①のケースです。

つまり,熟慮期間が過ぎる前であっても,相続財産の処分に当たる行為を行った場合は,単純承認とみなされてしまう結果,もはや相続の放棄は出来ないこととなるということです。

では,具体的には,相続財産の「処分」とはどのような事を言うのでしょうか。

ここでいう「処分」には遺産を売却するなどの法律上の処分はもちろん,物品を壊すなどの事実上の処分も含むものとされています。

例えば,被相続人の預金を解約し,これを消費してしまったという場合などです。過失によって軽微な破損をしてしまったような場合や,いわゆる遺品整理をする行為などでは,ここでいう「処分」にまではあたらないといわれていますが,遺品の中に高価な商品がある時などは注意が必要となるでしょうし,出来る限り,相続放棄をする可能性がある場合については,被相続人の方の遺産の扱いには注意すべきということとなります。

(4) 生命保険金の受け取りについて

ここで,問題となる例として,生命保険金があります。生命保険金が相続財産か否かは,契約により指定された受取人が誰かによります。

判例では,死亡者の法定相続人に支払う旨の約款による死亡保険金は,相続人の固有財産であると見て,保険金の請求,及び受領も,これをもって行った被相続人の財産の一部弁済までも,相続財産の一部処分にはあたらないとされています(福岡高宮崎支決平成10年12月22日)。

したがって,基本的には受取人が相続人の方である場合には,これを受取って,費消したとしても,被相続人の遺産について相続放棄は出来るということになります。

(5)「相続財産の隠匿,私に消費,または悪意で財産目録に記載しなかったとき」とは

また,相続放棄,または限定承認をした後においても,その趣旨に反する行動をとった場合には,単純承認とみなすと定められた規程が,上記③です。

つまり,相続放棄や,限定承認の結果,得られる法的効果は,相続人が被相続人の債務を免れるという利益であるだけに,これらの行為を行った場合に,事後的に相続放棄や限定承認の効果を失わせるという罰を与えるものであると考えられます。

財産の隠匿行為や,私(ひそか)に消費する行動,悪意で財産目録に記載しない(限定承認の場合)行動などはもっての外ですので,相続放棄を行う場合には,被相続人の財産を隠すなどの行為を行わないように注意しましょう。

(6)相続放棄を弁護士に頼む理由

以上のように相続放棄は、そもそもするべきかしないべきかの判断も難しく、かつ、3か月以内にこれを判断する必要がある事、その間の財産の処分によっては放棄できなくなるリスクもある事などから、弁護士などの専門家に依頼することは、このような判断を丸投げすることができる点でも便利です。

ニライ総合法律事務所も、相続放棄の相談を受け付けています。

 

相続放棄の取り消しと撤回

 

遺産分割をするときに借金が多いから相続放棄をした方が良いと言われて相続放棄をしたのに後から実は財産の方がずっと多くて相続放棄をした事は損だった場合、相続放棄は取り消すことができるのでしょうか。

 

(1)相続放棄の撤回は、原則として許されない。

相続の放棄を一旦してしまうと、原則としてこれを撤回することができなくなります。相続の放棄を自由に撤回できるとすると法律関係が複雑になって他の相続人を含め利害関係人の法的安定性を害する恐れがあるためです。

民法919条1項は次のように規定されています。

「相続の承認及び放棄は、第915条第一項の期間内でも、撤回することができない。」

915条第1項の期間というのは、相続放棄を申述できる期間です。

 

(2)相続放棄の取り消しができる場合

ただ例外的に、次のような場合には相続放棄の取り消しをすることができます。

①詐欺又は脅迫により相続放棄をした場合。

例えば騙されて相続財産がないと言う説明を受けて相続放棄をしたような場合、脅されて仕方なく相続放棄をしたような場合民放総則の規定に従いこれを取り消すことができます。民法919条第2項は次のように規定しています。

「前項の規定は、第1編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。」

前述の例もこれにあたり取り消すことができる可能性があります。

 

(3)相続放棄の取消はいつまでできるか。

ただし取り消しをするには、詐欺ということを知った日から、脅迫についてはこの影響から脱出してから、六カ月以内、相続放棄をしてから10年以内に取り消しをする必要があります。民法919条第3項は次のように規定しています。

「前項の取消権は、追認をすることができる時から六箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から十年を経過したときも、同様とする。」

 

(4)相続放棄の取り消し方法

相続放棄の取り消しをする場合必ず裁判所にその旨を申述しなければなりません。裁判所は取消の申し立てがあると、取り消しの原因があるかどうかを審査します。取り消しが簡単にできてしまうと、それに派生した権利関係の変更に重要な影響及ぼし他の相続人、第三者に多大な迷惑をかけるからです。

民法919条第4項は次のように規定しています。

「第2項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。」

取り消しができる場合にあたるかどうかについては、申立てる人が積極的に資料を集めて裁判所に提出する必要があります。

詐欺、強迫があったことについては、二段の故意など法律的な要件に沿う事情を立証していく必要があります。もし、相続放棄の取消をしたい場合には、ぜひ弁護士にご相談ください。

 

(5)騙して相続放棄をさせた人の責任

先ほどの例で、だまして相続放棄をさせた人はどのような責任を負うのでしょうか。

似たような事例で、相続人の一人が他の相続人らに対し、被相続人が生活保護を受給するために必要であるなどと欺罔して相続放棄申述書を作成させ、これを裁判所に提出して相続放棄をさせた上で、相続財産を売却してその代金を取得するなどした場合に不法行為が成立するとした裁判例があります(大阪高裁平成27年7月30日)。

このように、他の相続人をだまして相続放棄をさせた相続人は不法行為による損害賠償の責任を負う事が考えられます。

 

(6)相続放棄の無効主張

相続放棄について、財産の重要部分の錯誤があり、相続放棄に際しこれが明示ないし黙示に示されていたような時には、相続放棄は錯誤により無効となります。

福岡高等裁判所判決平成10年8月26日

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