【コラム】4月15日は「遺言の日」
遺言の日、知っていますか?
皆さん、4月15日が「遺言の日」だって知っていましたか?
「4・1・5(よいいごん)」の語呂合わせで、遺言の日とされているのです。
ちなみに、同じ理屈で11月15日も「いいいごん」ということで遺言の日とされています。
「何でも勝手に作ればいいのか!」という話ですが、当事務所所属弁護士の丹治(たんじ)と髙山も、4月18日に行われた沖縄弁護士会の高齢者・障がい者委員会主催の遺言の日イベントに参加してきました。
丹治は法律相談に出席し、髙山はイベントのメインである寸劇に出演、ばっちり弁護士役を務めておりました。
来場されていた方からは、「ためになった」「また来るね」といった声を多くいただきました。
ちなみに、4月18日は「よい歯」の語呂合わせで「良い歯の日」とされているようなので、「なぜこの日に?」という話ではありますが…。
「いごん」と「ゆいごん」の違い、ご存じですか?
さて、弁護士業界では、「いごん」と「ゆいごん」は違うといわれることがあります。
業界の方からすれば当たり前の話かもしれませんが、確認の意味も込めて、今回はこのテーマでコラムを書いてみようと思います。
「遺言」という漢字は同じ
まず、漢字についていえば、「いごん」も「ゆいごん」も同じく「遺言」と書きます。
では、「いごん」と「ゆいごん」は何が違うのでしょうか。
「ゆいごん」は最後の言葉
実は「ゆいごん」というのは、広く一般的な用語で、故人がその死後に自分の最後の言葉や意思を伝える言葉のことを指します。
これは、書面でなくても、口頭、つまり口から口へ伝える、いわゆる口授(くじゅ)の方法でも構いません。
たとえば、「はあはあ、うっ…最後に一言、お前に伝えておく、これは私のゆいごんだと思って聞いてくれ…」というセリフ。
ドラマや映画などで聞いたことがあるかもしれません。
そう、これが「ゆいごん」ですね。
堅い言い方をすれば、「ゆいごん」には形式がないということです。
極端な話、受け取り手さえ理解できれば、絵や暗号のようなものであっても構わないわけです。
「いごん」は法的効力をもつ文書
これに対して「いごん」はどうでしょうか。
「いごん」とは、法律上、相続に関し財産処分の効力を有することを意図して作成される正式な文書を指します。
これは、法律上定められた形式に従い、原則として書面で作成する必要があります。
(※ただし、死の危機に瀕した状態にある場合などには「危急時遺言」として、口授による方法も可能です。)
この場合、暗号のような方法は使えません。
なぜなら、「いごん」は法律で定められた相続人の権利に影響を及ぼす強い効力を持つものであるためです。
また、その「遺言」を根拠に登記を行ったり、銀行から預金を引き出したりする必要があることを考えれば、誰が見ても内容が明確でなければならないのです。
ですから、「いごん」には形式が求められ、形式を欠いたものは法律上の効力が認められません。
怖いですね。
にわか知識での遺言書作成は、後々に遺恨(いこん)を残すことになりますから、この文章を読んで、「ゆいごん」ではなく「いごん」を作りたいと思った場合は、身近な専門家に相談することをお薦めいたします。
弁護士に相談すべき遺言のケースとは?
ちなみに、弁護士に遺言作成について相談すべきケースは、私が考えるに以下のような場合です。
すべてに当てはまる方は少ないと思いますが、もし該当するようであれば相談は必須かと思います。
- 財産の種類・量が多い
- 相続人の数が多い
- 相続人(子)に分与を任せたら揉めそうな気がする
- 相続後に不動産などの財産を処分したうえで分けることを想定している
- 会社を経営しており、会社の株式なども所有している
ぜひ、この機会に一度、自分の意思を形にする「遺言」について考えてみてはいかがでしょうか。
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