はじめに

沖縄でも相続に関するご相談が増えています。
その多くが、相続人同士のトラブルや話し合いの行き違いです。
こうしたトラブルを未然に防ぐ有効な手段が「遺言書の作成」です。
この記事では、遺言書を作成する6つのメリットを、沖縄の相続に強い弁護士が解説します。

遺言書を書くイメージ

目次

1 相続トラブルを防止できる

遺言書の最大のメリットは、相続トラブルを未然に防ぐことです。
これは決して財産が多い場合に限りません。
たとえば、「実家の家しか財産がない」という場合でも、法定相続人に任せきりにした結果、相続人同士が対立し、やむなく家を売却する事態に発展するケースもあります。

このようなトラブルを避けるには、被相続人の意思を文書として明確に残すことが重要です。
遺言書がない場合、子や孫が「親はこう考えていたはず」とそれぞれ異なる主張をし、争いになることが少なくありません。
遺言書は、親として最後にできる意思表示ともいえるでしょう。

2 遺留分を配慮した相続が可能に

遺言書を作成する際は、遺留分への配慮が重要です。
遺留分とは、被相続人が自由に財産を処分する権利の限界として、一定の法定相続人に保障された最低限の相続分をいいます。

たとえば、ある相続人にだけ多くの相続財産を与えるような遺言があった場合、他の相続人が生活に困る可能性もあるため、一定の範囲で財産を取り戻すことができる権利が「遺留分侵害額請求権」です(旧法では「遺留分減殺請求権」)。

遺留分権利者は、兄弟姉妹を除く法定相続人(配偶者、子、直系尊属)に限られます。
また、その割合(遺留分率)は以下のとおりです(民法1028条):

  • 配偶者や子どもがいる場合:全財産の 1/2
  • 相続人が親だけの場合(例:独身で子も配偶者もいない):全財産の 1/3

たとえば「すべての財産を特定の相続人に譲りたい」と考えたとしても、他の相続人の遺留分を侵害することはできません。
そのため、遺言書を作成する際には、誰にどの財産を渡すかだけでなく、他の相続人の遺留分を侵害しないように慎重に検討する必要があります。

特に、会社の株式を後継者に相続させて事業承継を考えているような場合には、株式は特定の相続人に集中させつつ、他の相続人には現金や預金などの財産でバランスを取ることが重要です。
こうした調整を行わないと、遺留分侵害額請求によって株式が分散してしまい、経営権が不安定になるリスクもあります。

関連記事:遺留分とは?|沖縄の相続に強い弁護士がわかりやすく解説

3 沖縄のトートーメーなど祭祀承継者を指定できる

沖縄では、トートーメー(位牌)やお墓の承継がとても重要とされてきました。
しかし近年は、家族構成の変化などにより「誰が継ぐのか」が簡単には決まらないケースも増えています。

遺言書では、祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)を明確に指定することができます。
これは、自分のお墓や位牌を誰に任せるかを決める人のことです。
さらに、その祭祀承継者に対して、必要な費用や財産を一緒に渡すことも遺言で定めておくと、承継後のトラブルを防ぐことができます。

祭祀財産

4 推定相続人の廃除を明示できる

遺言書では、推定相続人の廃除を意思表示することができます(民法893条)。

推定相続人(すいていそうぞくにん)とは、現時点で相続が発生した場合に法律上、自動的に相続人になると見込まれる人のことをいいます。たとえば配偶者や子ども、親などがこれにあたります。

この推定相続人が、被相続人に対して虐待・重大な侮辱・著しい非行を行った場合には、その者を相続人から外す(=廃除する)ことが可能です。

ただし、遺言で廃除の意思表示をしただけでは足りず、遺言が効力を持った後に、遺言執行者が家庭裁判所に対して「廃除の申立て」を行う必要があります。

なお、廃除が認められるためには厳しい要件があり、簡単には認められないことも多いのが実情です。
そのため、遺言執行者を指定するだけでなく、事前に家族間でよく話し合っておくことをおすすめします。

関連記事:相続の廃除

5 遺言執行者を指定できる

遺言書には、その内容を実現する「遺言執行者」を指定することが可能です。
遺言執行者は、預貯金の解約や不動産の登記変更など、遺言内容を迅速かつ確実に実行します。

相続財産が多い、または会社の事業承継など重要な財産の相続がある場合は、法律に詳しい弁護士を遺言執行者に指定しておくと安心です。
遺言執行者の選任に悩んでいる方は、沖縄の弁護士法人ニライ総合法律事務所へお気軽にご相談ください。

関連記事:遺言執行者を付けるべき場合はどういう時?

遺言執行者に関するご相談

6 遺産分割の禁止が可能

遺言によって、相続開始の時から5年間遺産の分割を禁止することが出来ます(民法908条)。
たとえば、不動産の価格が安定するまで売却せず保有したい場合や、共有名義での不都合を避けたい場合などに有効です。

ただし、事情が変われば相続人全員の合意により分割することも可能です。

沖縄で遺言書作成をご検討の方へ

遺言書は、相続トラブルの予防や被相続人の意思の実現のために、とても有効な手段です。
沖縄では、トートーメーやお墓の管理といった地域特有の問題も多く、祭祀承継者の指定も含めた丁寧な対応が求められます。

また、遺留分の調整や遺言執行者の選任など、専門的な法的配慮が必要なポイントもあるため、弁護士のサポートを受けながら作成することをおすすめします。

那覇市・沖縄市・うるま市に事務所を構える弁護士法人ニライ総合法律事務所では、沖縄地域に根ざした法律サービスを提供し、相続や遺言に関するご相談を数多く取り扱っております。
初回30分の無料相談をご利用いただけますので、沖縄で相続問題や遺言書作成にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
経験豊富な弁護士が、相続に関する専門知識と豊富な実績をもとに、親身になってサポートいたします。

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