【コラム】兄弟が相続で揉める本当の理由と解決策
※本コラムは、2017年3月14日に公開したコラム「兄弟の相続問題はどうしてトラブルになるのか」を再編集したものです。
1 兄弟の相続問題はお金に目がくらんだ誰かが悪い?
かつて仲の良かった兄弟も、相続をきっかけに争いが生じると、関係が険悪になり、最後には法事にも顔を出さなくなってしまう——こうしたケースを数多く見てきました。
兄弟の相続は、なぜトラブルになりやすいのでしょうか。
「相続というお金が絡むと、欲に目がくらんで兄弟愛が吹き飛んでしまうからだ」「誰かが財産目当てだから、話し合いができず揉めるのだ」と考える方も多いかもしれません。
しかし、数多くの相続事件を扱ってきた経験からすると、これはあまりに表面的な見方ではないかと感じています。
2 兄弟姉妹の相続トラブルの典型例(親の愛情と生前贈与)
親のお金を管理していた兄弟とそうでない兄弟、または、親から多額の生前贈与を受けている(と思われている場合も含む)兄弟と、そうでない(と思い込んでいる場合も含む)兄弟との間で、相続の話し合いは揉めやすい傾向にあります。
「兄弟の誰がいくら生前贈与を受けていたのかが分からない」「きちんと説明されない」といったことに、相続人は強い不信感や憤りを抱きます。
もちろん「多くもらっていてずるい」という経済的な感覚もありますが、それだけではありません。
相続特有の要素として、「親が自分ではなく別の兄弟を優遇したのではないか」という疑念、つまり“親の愛情の偏り”が根本原因となっているケースを数多く見てきました。
実際に遺産分割調停の場で、依頼者が「親は私より兄弟の方を可愛がっていましたから」と、少し寂しそうに話す場面に立ち会うこともあります。
印象的なのは、相続でもめない家庭ではトートーメ(沖縄の位牌)やお墓を押し付け合うのに対し、相続でもめている家庭では逆に「親の位牌やお墓も自分が継ぐ」と争うケースが多いという点です。
3 長男優遇の沖縄
沖縄では「トートーメを継がない者が財産を相続すると地獄に落ちる」と言われ、長男が全ての財産を相続するのが当たり前とされてきました。
これは明治期以降に本土から伝わった戸主制度の影響とも、農業中心社会における地縁的・農業的合理性によるものとも言われており、その由来については諸説あります。
また、祭祀の承継も長男が担うとされ、実家を長男に相続させることが当然視されてきました。
もっとも、現代では古い家を継ぐことで固定資産税などの負担を背負うケースも多く、長男が“貧乏くじ”を引かされることもあります。
かつて農業が中心だった時代には、農地を細かく分割すると耕作に適さなくなるため、長男に一括して相続させることには合理性があったとされています。
しかし現代では、こうした背景的合理性は失われており、民法上も兄弟の相続分は平等が原則です。
4 相続で揉めないために(弁護士からのアドバイス)
相続トラブルを防ぐには、親が生前に財産を公平に開示することが何より大切です。
相続トラブルの本質は、「親は兄弟の誰をより可愛がっていたのか」という疑心暗鬼です。
実際には親が子ども全員を平等に扱っていても、情報が隠されたり説明不足であれば、「きっと兄弟の一人が多くもらっているに違いない」と誤解されやすくなります。
望ましいのは、親が生前に兄弟を集めて財産の説明をし、さらに公正証書遺言を残すことです。これにより、残された兄弟間の不要な疑念や争いを防ぐことができます。
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5 相続でもめてしまった場合の対処法
相続でもめた場合、誰かが譲歩すれば解決することもありますが、「声の小さい兄弟が割を食う」形で分割がなされると、後々まで親族関係にわだかまりを残します。
強引な分割を進めるくらいなら、遺産分割調停や審判を利用して、第三者である裁判官に公平に分けてもらう方が健全です。
また、感情的な主張の応酬になってしまう場合は、弁護士に依頼して感情と法律を切り分けることで、無用なストレスや関係悪化を防ぐことができます。
6 兄弟間トラブルの根深さと追加のアドバイス
相続の兄弟間トラブルは、通常の法的紛争より根が深く、感情的になりやすい特徴があります。
(1)身内だからこそ遠慮なく不満をぶつけてしまう
兄弟は長年一緒に暮らし、お互いの弱点や過去の行動もよく知っています。
本来相続とは関係ないことまで持ち出され、喧嘩が拡大するケースがあります。
→アドバイス:相続の話し合いでは、兄弟の過去の悪行や失敗を持ち出さないこと。悪口を言っても相続分は増えません。
(2)兄弟間の力関係
年長者や声の大きい兄弟が多く取ろうとするケースがあります。しかし法律上、兄弟の相続分は平等です。
→アドバイス:年長者・声の大きい人は無理に多く取ろうとしない。声の小さい人や納得できない人は、弁護士に相談し、遺産分割調停・審判を申し立てること。法律は弱い立場を守るためにあります。
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