【法律相談事件の概要】

相手の弁護士から内容証明が来た。私の相続取り分はゼロだと書いてある。話し合いでは決着がつかず、向こうの弁護士から調停を申し立てられた。複数の法律事務所を回ったが、良い回答は得られなかった。

 ※実際の事例が特定できないように、事案の詳細を少々変更しています。

【弁護士の関与】

他の相続人も多額の生前贈与を受けているが数十年以上前であり立証が難しいケースだが、法律論で押せば、調停が決裂しても、まず確実に相続分を取得できる事案であった(意外に相続をあまり取り扱っていない弁護士の中には、この処理方法を知らない弁護士も多い。)。

依頼者の精神面・体調面に配慮し、基本的には調停は弁護士のみ出席して、依頼者とは体調が良い時に密に打ち合わせをして、調停の内容の報告と次回調停の対策を立てた。

 

【判決・調停・審判・和解】

当初のゼロ提案から約1000万円アップで調停成立となった。

念のため特別受益の存在なども主張したが、立証が困難であったため、主に勝算が高い法律論のみで戦う事にした。相手の代理人の主張は、特別受益について、法律的な根拠のないものであったので、遺産分割調停の実務本から分かり易い図などを参考書面で提出し、調停委員もこちらの見方となって説得してもらえるようにした。

 

 

【調停成立まで】

 約1年

 

【関連判例】

(最高裁平成16年4月20日)

 相続財産中に可分債権があるときは、その債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されて各共同相続人の分割単独債権となり、共有関係に立つものではない」

(大阪高判平成26年3月20日)

銀行が相続人の一人による普通預金債権の払戻請求を拒絶することが不法行為を構成する。

(最高裁判所大法廷決定平成28年12月19日)

共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定額貯金債権は、いずれも相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる。